訓練がまだ足りなかった?今年の夏山

 長年の蓄えもとうとう尽きてしまったか、白馬をなめていたか、うん、やっぱり春先からの訓練が足りなかったのだ、今年の山行はきつかった。久しぶりの辛さでした。・・・と思った筈なのに、9月に入ってx日・・・そんなだったかなあ・・・
なーんて、性懲りもなく又、どこ行こうか――。

 24日、蓮華温泉からの登り、初っぱなから足に力が入らず、ふらふらして今にも蹴つまずきそうで、よたよた。少し目眩もして危なっかしい。前の人との距離がどんどん空いていく。最後尾を歩こうか、いやいや最後になんかなったら延々と遅れてしまいそう。
やっぱりKSさんにトリを務めていただくしかない。いつもならそのうち調子が出てくるのだけど、くらくら度は増していくばかり…。
この先、まだ何時間もあるわけで、このままの調子だととても山頂まで皆に付いて行けない。少し大池で休んで、あとで皆を追いかけることにしようか・・・それともいっそ一人で栂池に下りようか・・・真剣に考え始めていたところ、白馬大池着。

 山歩きを始めたばかりの頃、家族5人で初めてテントを担いで来た思い出の地、白馬大池。カンガルーでは八ヶ岳、夏沢鉱泉集合の年、あれから17〜8年になるのでしょうか。テント場も小屋も池も乗鞍も何にも変わってなくて、変わったのは自分の衰えだけ・・・。むう父さん隊長に、「もう高度はあと3分の1だけなのだから大丈夫、頑張ろう」と励ましのお言葉をいただき、まあ、もうちょっと頑張ってみようか。下りるのは簡単なことだ。

 その先、傾斜は緩やかになったものの、辛さは変わらない。ところが、辛いのは私だけではなさそう。全体的にテンポがダウン気味、ややっ、これなら何とか一緒に頂上に辿り着けるかも、なんてとんでもない、私の足に合わせて頂いているのだったわ、がんばらなくっちゃ。ガスが出てきて、強風で寒いし手もかじかんでくるけど、そんなことより、ともかく、ふらふらしながらもついて行くことが最大事。まだまだ、写真撮る余力もなかった。山頂の方位盤にへたり込むように到着。寒い。すぐに山荘まで駈け降りる。

 白馬山荘は、さすがの大きさ。廊下が長――い。トイレもたーーくさん。食事の行列も、見事なまでに整然と流れ作業で処理され、私たち家畜? 鶏か豚かになった気分。隣の席のおじさんも、食べた気がしないとさっさと引き揚げて行った。
でも、展望レストランは優雅でまさにリゾートの雰囲気。中に居ると、3000mの山上であることなど忘れてしまう。小屋の食事とは全く別メニューで営業していて、小屋の方を素泊まりにして、レストランで朝夕の食事を摂るということも可能のようだ。


 夜中、うるさいのは、風でガタガタ鳴る窓ガラスの音だけ。今年こそはと期待して臨んだ夜だったけれど、KSさんの発する爆音など何―んにも。前夜も、そう。あの噂、本当なのでしょうか?

 25日、朝、SYさんと同じ頭痛が・・・。5時、起きがけの食事が辛い。頑張っても半分しか入らない。よくあることとはいえ、こういうところで残すのはとても気が咎める。

 さて、今日、どのルートを下りて行くか決めねばならぬ。昨日の段階では、もう、大池〜栂池しかないかと思っていたけど、予報は晴れると言っているので、MKさんについて鑓温泉に下ろうか。家人から、鑓からのコースは大変だったと何度も聞かされたけど、どんな風にどんな道を歩くのか、やっぱり自分で試して納得したい。またとないチャンスなのだ。下りだから何とかなるだろう。
ひとりで昨日の道を戻るKSさんにご一緒できないけど、彼は道連れを見つけるのも楽しめるお方のようだから・・・。

 朝日に向かう3人と蓮華に戻るKSさんは再び山頂に向かう。2人下山開始。すーっと晴れてきた。

 気持の良い村営小屋への下り。風が強い。そして杓子岳への登りにかかり振り返ると、あーこれこれ、いつも写真で見るあの白馬岳の非対称の稜線、そして山小屋。こちら側からこの風景を一度見てみたかったのです。ここまで来てこれを見られたらもう満足。ほんと、来てよかった−。


 あとの、長―い長―い下り、高度差1700mの顛末は、MKさま、お願いします。

 今年も皆さま、お世話になりました。ありがとうございました。

記:(NM母)

8/25 白馬三山を下る

別々の道へ出発
 小雨の朝だった。しかし、これからドンドン良くなる模様なので予定通り三山を下ることにした。6:00出発。頂上経由の4人とエールを交し別れる。いざ杓子へ。向かっているつもりで全然違う方向に向かうMK母であった。前途多難。
何時しか霧も晴れ、振り返れば小屋の上に白馬頂上が、見下ろせば大雪渓がちょっとだけ。

杓子から鑓岳へ
 風が強く、雲の動きも速い。晴れたかと思うとすぐまた霧の中。大雪渓に続く斜面が紫でトリカブトの大群落であった。稜線にはトウヤクリンドウがいっぱい。何度か登り下りして、霧の中杓子は何時の間にか巻いてしまっていた。
晴れ間に稜線を歩く人影が見えて気が付いた。ザクザク道を下る様だったので、気が付かなくて良かった。
8月の日曜だというのに歩く人数が少ない。花の白馬なのに…飛ばされない様に(怖かっただけ)四つん這いになってMK母超えたピークも、NS母軽々踏破。身が軽い。普段の忍耐力の違いがこういう所で現れる。この方大騒ぎをしない。
ここかここかと思うピークはドンドン遠のき、やっと辿り着いた鑓岳山頂はものすごい風。7:50しかし眺めはバツグン。
剣方面、遠く槍の穂先も霧の中にチラリとのぞく。唐松方面への稜線が続く。これを見ちゃうと山をやめられない。

鑓温泉へ
 8:00あまりに風が強く寒いので早々に下る。先は長いし。鑓温泉への指導標に従い稜線から離れた途端にぱったりと風が止み日差しが暑い。さっきまでの風、寒さがウソみたい。この辺から登って来る登山者に会い始めた。鑓温泉かららしい。
暑くて休んで斜面を振り返って驚いた。コマクサがいっぱい。そして真っ青の空に映える岩山。そこからしばらくはお花が一杯。コオニユリ、シャジンと思われる赤紫が混じって斜面を飾っていた。大出原というらしい。写真を撮りにという登山者に会った。
何時しか潅木の中の道になり、何回か鎖なども使ったりして、なんだかお腹がすいたと思い始めた頃、へ? というような屋根が見えた。鑓温泉だった。10:30
温泉はどこだどこだ? スノコの隙間からすぐ下に覗けた。こりゃあ入れないわ。建物周りは洗濯物で一杯なので、お風呂を見上げられる場所でお弁当。
ほとんど中身覚えてないけど、白馬山荘の食事は美味しいような気がした。常念小屋に比べたら月とスッポン。
お風呂に入る人、煮炊きをする人、皆それぞれに寛いでいる。我らは食事、トイレ(きれいだった)を済ませば出発。
先は長いと聞いている。11:10


猿倉へ -延々と-
 小屋の下は豊富な温泉が流れ放題。もったいない。そして一面のイチゲ、ミヤマキンポゲのお花畑。雪渓も残っているし、随分遅そう。雪渓はすでにクレバス状態で登る事は無かった。別ルートが整備されているのだった。
しかし、ここからは本当に長かった。それも延々と同じ様な道が続き、日差しが暑いし、風は無いし、登れば下り、下れば登る。終わりそうでまた先へ。
潅木帯なのに1度も中に入る事は無かった。暑くて暑くて、汗だく。気持ちもぐったり。本当に深い山だわあ〜。こんな道、一人だったら絶対にまいっちゃう。などとサンザン文句言いながら、足を引きずり、やっとの思いで、猿倉へ。14:55

温泉・帰宅
 すぐさまタクシーの相乗りで駅へ。温泉はタクシー会社がちゃんと攣るんでいて、ホテルの割引券をくれるのだった。その前に、長野に出て新幹線で帰るつもりでいたので、駅脇の観光センターに時間などを確認するつもりで寄った。すると、あずさの臨時が始発であるというし、バラの回数券もあるというではないか。ヤッター。というわけで、安心して温泉へ。さっぱりとして、BEERなど飲みながら良い気持ちで、暑い暑い東京に帰った。新宿21:06だったという。

(MK母記)